明け方のつぶやき(時刻:不明)
ふと気がつく。
廊下でなにかがしゃべっている。くぐもった声。電話。え?電話がしゃべってる???
「・・・・・おはようございます。1月2日。天気は、曇り。午後から雨です。・・・・・」
島の情報みたいに聞こえる・・・。
カーテンにぼうっと映る光からみて、外はたぶん、曇り。
風に乗ってひょうが降っている。
道路にはさぁぁっと、外に置いてある「三岳」の空き瓶にはパラパラパラっと音
を立てて降ってくる。
空気が冴えている。あとは、しーんとしている。
ピロリロー♪ピロリピーロ♪
・・・・・うううんっ。携帯電話の目覚ましで目が覚める。あれ?ここどこだっけ・・・。ふと、空気の感触が違う?空気ににおいがない。埃もない。無駄なものがない。
そーか。ここは屋久島なんかぁ。山でキャンプした朝みたい。
サッとふとんから飛び出す。(いつもはモジモジしている。)
歯ブラシとタオルと洗顔用具を持って洗面所へ。蛇口をひねって、
冷ったーっ!?
でもイヤじゃない。バシャバシャやって適当に顔を整えると、おかあさんが朝ご飯をもってきてくれた。ししゃも2匹とご飯とお味噌汁と海苔が5枚。(めんどくさかったのかな?与論の南海荘の朝ご飯を思うと、かなり少量に見えてしまう)
ぺろりと美味しくいただいた。5分づき米がもちもちして美味しかった。ごちそーさま。
今日の予定は、はじめは山登りを考えていたのだけれど、「うーん。どうだろねぇ。朝の放送で雨が降るって言ってたから(あの、明け方のつぶやきか・・・。)今日は山より、観光かねー。」「そっかー。じゃあ、今日は島一周しようかな。」「そうしたほうがいいよねぇ。“大川の滝”がきれいだよー。西部林道はせまいから、気をつけていってきなさいねー。」というわけで登山は明日にすることにした。ここ宮之浦から左回りに行ってみる事にしよう。車代は?昨日もらったから、もういいよーとのこと。やったぁー、ありがとう!!
では、寒いけど、「行ってきます。」(お正月なのでちょっとのんびり。)
この「民宿かわかみ」は、2階が家族のお住まいになっており、1階の玄関には普通に息子さんのジャージがたたんでおいてあったり、食器が積み上げてあったりで、バアチャンちみたいな感じ。宿泊するというよりも、居候する感じで泊まることができる。おかーさんはほんとに世話好きな人で、初めて電話したときも「靴とねー、雨具と、リュックサックは必ず持っておいでねー。」とていねいに教えてくれた。片脚が少しわるいようで、ひょこひょことゆっくり歩く、それが、おかーさんのペース。思わずいっぱいしゃべってしまう。この朝も10分ぐらいしゃべってたような気がする。
風がびゅんびゅん吹きすさぶ屋久島。頭の上は雲がもくもくと、ときどき青空が見える中、スズキの軽自動車をお供にNHK児島かなんかのラジオをつけて、まずは志戸子(しどこ)へgo。
志戸子ガジュマル園
入り口をなんとか見つけると、ちょっとしたがじゅまるの群生地になっていて、ぶどう園のようにびっしりとがじゅまるが生えている。中はこのがじゅまる達のおかげで風が弱い。ありがとー、みんなのおかげで寒くない。
ここ屋久島は、がじゅまるの北限らしく、これより北側には生えていない。心なしか少し寒そうに見える?まぁ、季節も季節だし。
それにしても、横に生えてるシダ類といい、この葉っぱといい、ぜんぶがでかい。肝心のがじゅまるは普通の大きさで、高さ3mぐらい。そういえば、通称『絞め殺しの木』だっけ。内側の木を羽交い絞めして、そのままこごえて立ってる。中のほうは空洞になっている。(寒いのかな?)
また車に乗り込む。むっ、それにしても風がすごい!!
一湊海水浴場(いっそうかいすいよくじょう)
「明けましておめでとうございます。JO××AM、NHK児島放送です。さて、児島のお天気ですが、現在奄美地方に強風波浪注意報。屋久・種子島に強風波浪注意報・・・・」「ええぇー?!こんなに吹いてんのに“注意報”???」与論といい屋久島といい沖縄といい、注意報と警報の程度が本土とは全然違うんじゃないかと思う。「注意報やから」と思って外に出たら飛ばされます。
さて、砂浜の一湊海水浴場にとりあえず降りてみる。ビュウウウウウウ。すごい風。髪の毛が引っ張られるよー。
空はもくもくと雲にすっかり覆われて、海はむこうのほうからグリーンのうねりが押し寄せる。白い波がザボーンザボーンとこっちに向かって走ってくる。見たまんま「嵐」。波打ち際が高くなってて、砂がぎゅうぎゅうに押し寄せられて絶壁状になってる。と思っているうちに波到来。うおっとっとっとーっ!?危ない。車に退散。
永田岬・屋久島灯台
道を見つけるのが至難の業で、とりあえず細かったり曲がってたりする道を20kmくらいの速さで行くと、やっとたどり着いた。断崖絶壁の上に、白くてまーるい灯台。ちょうど雲の切れ目が近づいて、明るくなる。気持ちいい。向こうの方に低―く、口之永良部島が見える。グリーンの海のところどころに、天の光がさしてとてもきれい。
風にずーっとあおられているせいか、大阪での人ごみのイライラだとか、仕事のイライラだとか、臭いオッサンにイライラだとか、あらゆるイライライライラが、ぜーーーんぶ吹き飛んでいってしまったような気がする。(だってすごいもん。)とりあえずここは屋久島。そして私は風に吹かれている。ええやん!?これ!気持ちいい!
西部林道
これは、まさにジャングル。しかも狭い山道。道の両側から亜熱帯植物がおらおら飛び出していて車1台通る位の幅しかない。一応アスファルトではあるけど、運転下手な私は、前からトラックが来ようもんならもー、よけられません。どうか誰も通らないでください。それにしても右も左も緑ばっかりで、車が来なくても何かと出会いそうな予感が・・・・。
そんな風に思っていたら、運良く車とはすれ違わなかった。ふう。運転に必死であまり景色を見つめられなかったけど仕方ない。そろそろおなかがすいてきた。
「おおーっ?!」西部林道を抜けたところがバンタになっていて、いきなり海が見えた!!濃いエメラルド色の海が広がる。いい具合にひょっこり晴れて、ひょうがパラパラ降ってくる。天気雪。氷の粒がキラキラ光る。ああ、きれいだ。ん?そういえば田口ランディさんの本のタイトル。「ひかりのあめふるしま屋久島」だっけ。なぁるほどー!(さすが。)でもこの場合、「ひかりのつぶふるしま」だね。それにしても、こんなに天気雪がきれいなんて!
大川の滝(おおこのたき)
私の友達も「絶対行ってきぃや!」と大絶賛していた大川の滝。
山の入り口で車をとめて、遊歩道を歩いていく。
ざぁぁぁ、水の音がする。
細かい水しぶきが髪の毛をしっとりさせている。
あ!!すごい!
岩場のボコボコの上に、切り開いたような感じの山があって水が流れている。
これが、大川の滝。高さ30mぐらい?左半分には水がどぉーっと流れていて、右側はジャラジャラと複数の線になってからまって流れおちる。
荒々しく、きめ細かい。これは、すごくいいっ!!
近くに行くために岩場をよじ登り始める。コケコケ(苔)してないので、意外とちゃんと登れる。
いよっと、なんとか水の近くに着いた。
滝壷は、ずんぐりした緑色。
結構深いんやろうな。
よし、ここなら。私はしゃがんで水の音を聞きはじめる。
何がきこえる?何か、しゃべってくれるかな・・・・?
こんな風に聞こえた。
「おう。初めてかい。」そしてすぐに去ってしまった。(当たり前か。)
だけどやさしい。クールなのかもしれない。
反対に、西表島は植物やら木やら水やら、とにかく「これでもか!!」と生えているので、歩いているだけでとにかくあちこちから「はい、どいてどいて」とか「ちょっとあんたー、痛い痛い」とか「よぉ。俺、イケてる?」といわんばかりに騒々しかった感じがする。
しばらく目をつむって色んな音を聞いていた。
私は自然の一部なんだなぁ。一人旅でもひとりじゃないと思う。
本当に不思議。
都会ではたくさん人がいてもさみしかったりするのに、ひとりで与論の海で泳いでいてJASが飛んでいくのをみても、さみしいとは思わない。
そういうの、皆さんはないですか?
当然の事なのかな?
ほんと緑や水や海って、やさしい。
だから私は自然が好きです。人も好きだけど。
さて、もーお腹がすきすぎた。尾之間あたりにラーメン屋さんがあったはず。ひと走りして、お昼ご飯にしよう!
栗尾平内湯泊尾之間屋久島温泉
ちいさな街を通り過ぎて、尾之間へ。きのうやたらとたくさんのオカアチャン達に話しかけられた尾之間温泉。これを過ぎて、今日は屋久島温泉に向かう。
この近くのラーメン屋さんで定食を食べてから温泉に向かう。
国民宿舎屋久島温泉。
ここは200円でお風呂に入らせてくれます。(もちろん、バスタオルやシャンプー等は備えついてないのでご注意を。)窓からは、海が一望!もうすっかり晴れていて、ザアザアと波の音を聞きながらお湯に浸かると、温かいだけでも幸せなのに、湯船に沈んでいきそうなくらい、幸せ。
お風呂を出てしばらくロビーでぼんやり夕焼けを見ていると、携帯にメールが来てた。
「あけましておめでとう!あれからどこか行った?今年もよろしくね。」去年の函館・青森の旅の時、ユースの部屋で一緒になった、ナルタおねーさん。長野からだ。
うれしいなー。こういう友達は大事にしなくちゃ。さっそく返事を送っとこう。
今、屋久島に来ています。あったかい♪といいたいとこだけど、めっちゃ寒いです。でもここは、日本のあらゆる自然が凝縮されてて、山も海も人も色んな表情をしてて本当に楽しい!
明日は屋久杉を見に、木の神様に会いに行きます!では、また。
安房でお土産を買う
屋久島の焼酎「三岳」(小)4本。ごまさばの燻製。ポンカンジャム、たんかんジャム。みそ豆2つ。糖1袋。
これで、友達にぜんぶまわるでしょう。島を回ると、焼酎好きになってくるな。ま、とりあえず今日はお部屋で三岳を飲むぞーっ。
民宿到着
ただいまぁ。帰るとすぐに晩ごはん。
おっ?!これは!「飛び魚だー!」「そーよお。カリカリして美味しいんだからー。」わーい。いただきます!飛び魚って、目でっかいなー。
お箸で取ると、きりっとした身。うん。これは美味しい!好きな味。
そして横にあるのはさつま揚げ。あーおいしいー。これもお魚のすりつぶしたのが入ってるのかな?
実はこれはじめてだったんだ。それにしても、お味噌汁の中に入っている、でっかいぶっとい豆腐が、やっぱし美味しい。豆です!て感じの味がする。
これは皆さん、ぜひ味わってください。
焼酎の時間
TVも見て、明日の登山支度もして、お部屋が寒くなってきたところで、
21:00焼酎の時間♪♪♪
今日は、100%パインジュースでわってみました。旨いっ。何杯かちびちびやってるうちに、あー、もう酔っ払ってる。ふとんにドタッ。あ、明日は山登りだ。さっきおかーさんに「朝ご飯のかわりにお弁当にして」と頼んだし、準備万端。いいお正月だ、幸せ。おやすみなさい・・・・・。ぐー。
(1月3日 登山編につづく)